Quantcast
Channel: 浮世風呂
Viewing all articles
Browse latest Browse all 329

変貌するロシア市場

$
0
0

日本製品が最高級ブランドとみなされるロシア
外資の進出で変貌する市場に今のままでいいのか

2013.08.12(月)JB PRESS 菅原信夫氏

つい先日、モスクワからサンクトペテルブルクを経由し、フィンランドのヘルシンキまで鉄道の旅を敢行した。モスクワ〜サンクト間はソ連時代から有名な「赤い矢」号。この1等寝台を利用したが、最新の車両はトゥベル車両工場製で、豪華そのもの。

 乗車後の夜食に下車前の朝食と2回も食事ができる。1等寝台は2人部屋で、1両に8室、16人が定員だ。1人当たりの乗車券は7700ルーブル、日本円で2万3000円もする。

モスクワを出発する直前のサンクトペテルブルク行き「赤い矢」号。この列車は、ソ連時代からずっと毎晩23時55分にモスクワとサンクトを 出発し、翌朝8時に目的地に到着する。レニングラード回廊を行く名物列車である

列車の旅は飛行機の2倍の金額

 ロシアの物価からみても、相当高額な料金だ。ちなみに、アエロフロート国内線のモスクワ〜サンクト料金は往復で2万5000円程度だから、1等寝台を例に取ると、今や鉄道の旅は空路の2倍、ということになる。

 ロシア鉄道は国が100%出資しているので、日本の旧国鉄を考えていただければよい。すなわち、ロシア国内のほぼ100%の路線を押さえている国有企業ということだ。

 営業キロ数8万5000キロ、従業員数107万人、旅客輸送実績(2008年)12億9600万人、という巨大な国有企業である。そして、そのロシア鉄道に生産量のほぼ全量を納めている車両製造企業がトゥベル車両工場。

 この親会社はトランスマシホールディングと称する持ち株会社だが、その資本の半分をロシア鉄道が握っているのは理解できるとしても、出資者に西側企業が顔を出しているのには驚いた。

 オランダのブレーカーズ・インベストメント(Breakers Investment)、さらにはフランスのアルストム・トランスポート(Alstom Transport)が株主だ。

 数年前、筆者がこの工場を訪問した理由の1つは、日本製工作機械の納入可能性を打診することであったが、工場を視察するだけで答えは出る。ドイツ、フランスを中心とするヨーロッパ製の設備で工場は埋まっていたのである。

 このような西側の設備を輸入する際も、西側資本が一部でも入っているとEBRD(欧州復興開発銀行)などの融資が受けやすくなり、大変都合がよい。

 そのような動きを欧州企業は2000年前後から猛烈な勢いでロシア企業に対して繰り返してきたが、今、その成果が立派に出始めていることを高速で移動する豪華な寝台車の中で認めざるを得なかった。

 伝統的な鉄道車両は、ロシア企業にも製造が可能だが、これが高速鉄道用車両となると、西欧企業の一人舞台となる。現在、サンクト〜モスクワ〜ニジニノブゴロド間を結んでいる「サプサン」は独シーメンス社の製品。

 ロシア鉄道は、車両だけでなく、運行関係装置から乗務員訓練用シミュレーターまでシーメンスに発注したというから、巨額の買い物だったはずだ。

第2次大戦時、ソ連の通信を支えたシーメンス

 シーメンスのロシアへの進出は19世紀にさかのぼり、ロシア南部諸都市とモスクワ間の電話回線敷設がロシアでの大規模事業のスタートだったと同社社歴には書かれている。以来、第2次大戦時、ドイツと戦うソ連の通信を支えたのもシーメンスであった。

 このシーメンスと並び、ロシアの鉄道事業に食い込みつつあるのがフランスである。先述のアルストムはロシア鉄道にサンクトペテルブルク〜ヘルシンキ間を走る「Allegro」号を納入している。

「赤い矢」号のキャビンに張られたトゥベル車両工場製を示す銘板。最近鉄道でこの銘板を見ることが大変増えてきた。空港とモスクワ市内を 結ぶAirportExpressの赤い車両も同社製である。やはり外資の参加が企業に効率をもたらすのであろうか

 この車両はSapsanと同様、一般の線路を走行する高速鉄道で、いわゆる日本の新幹線とは異なるが、簡素な車内デザインの中にも、使い勝手のよい食堂車、洗面所など、ロシアが吸収できる要素がたくさん見つかる。

 メンテナンスは先述したトゥベリ車両工場が請け負っているという話だ。西欧企業はこうやって、ロシア企業の中に入り込みながら、自社要素を拡大するという方法で、効率よくロシア市場への進出を図っている。 

 日本では、ロシアという国について、石油、ガスというエネルギー生産のおかげでお金がじゃぶじゃぶ国中にあふれているのではないか、という妄想があるようだが、それは全く現実とは違う。

 お金持ちというのは、国民のごく一部であり、それ以外の国民はお金を持っていない。お金がないから、彼らはお金を使わない生活をする。幸い、父親の時代から使っているアパートと郊外のダーチャがあるので、車さえなんとか手に入れれば、結構優雅な生活を送ることができる。

Sapsanは完全なビジネス仕様で、日本の新幹線と内部もほぼ同等。ロシア鉄道の伝統を守り、客室乗務員は女性のみだが、Sapsanの場合は他の列車より若いか?

 ダーチャはある意味、自給自足の生活だから、大工仕事も自分でやることが多く、そのために電動工具を持つ家庭も多い。この市場に初めて進出したのが我が国のマキタ、リョービ、日立工機といったメーカーの電動工具だった。

 しかし、その後ロシア各地に登場したホームセンターを通して大量に販売されたのは、「ブラック・アンド・デッカー(Black & Decker)」「ボッシュ(Bosch)」など欧米メーカーが中国で生産した非常に低廉な価格の製品であった。

 欧米メーカーの名前は知っているがカネがないロシア知識人層が、あっという間にこれら欧米メーカー製品に飛びついたのは言うまでもない。これもまた、自己ブランドを活用しながらも価格競争では中国を利用し、いいとこ取りする欧米メーカーのしたたかなロシア戦略が見える。 

 ロシア人はアイスクリームが大好きで、零下20度の冬の路上でもアイスを食べている中年(青少年ではない!)を見かける。都市ごとに地元専売のアイスクリームがあるから、全国ではものすごい種類の製品になるはず。

ロシアのアイス市場にいち早く目をつけたネスレ

 これはまた、アイスクリーム工場が全国に何百とあることを指している。

 この業界に対して、外資が猛烈なアタックを、それもソ連が崩壊した1991年から始めていることを日本人は知る由もなかった。その頃、スイスのネスレ本社には買収工作をかけるソ連全土のアイスクリーム企業のリストがあったという。

 1991年ソ連は崩壊、「それゆけ!」と言ったかどうかは知らないが、その後約2年、1994年にはほぼすべてのターゲットを手に入れていたというから、その行動の速さにただただ驚くしかない。この急速な展開には理由がある。ネスレとオランダ・ユニリーバとのアイスクリーム工場争奪戦である。

 今、モスクワで、サンクトで、そしてノボシビルスクなどで、その町にしかないオリジナルのアイスクリームを楽しむことができるが、その包装を見るとこの外資系2社のマークを見つけることが多い。

ヘルシンキ中央駅に到着したロシア国鉄、フィンランド国鉄共同運航の「Allegro」号。この特急の特徴は、ロシアからフィンランドへの入国検査(パスポートコントロール+税関検査) が車外に出ることなく、自席ですべて完了する。素晴らしいフィンランドの風景の中を走る 4時間は、まさに夢の旅である

 こういう例を見ていると、欧米系企業のロシア戦略が見えてくるようだ。少しまとめてみよう。

(1)すでに存在しているロシア企業を買収、あるいは資本参加し、最少の投資で、自社ブランドをロシアに根づかせることを第1段階、その後、ロシアのマスマーケットを狙う廉価で良質な製品を投入することを第2段階。

(2)対象顧客として、富裕層は狙わず、ボリュームゾーンである中産階級を対象にして、まず自社ブランドを広め、その後高価格製品に誘導する。

 こんな感じだろうか。

 さて、日本企業の戦略である。

 ロシアで日本の強さを感じさせるのは、路上に駐車している日本車であろう。トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、富士重工業、マツダ、ホンダとその数と種類において、世界の主要都市の中で、モスクワの路上ほど多くの日本車を見かける場所はないのではないか。

 もちろん、これにはウラジオストクをはじめとする極東の街を除いて、というただし書きが入るが・・・。何せ、極東では、乗用車の9割以上が日本車で占められ、路上に停車している日本車を数えるという行為そのものが意味をなさない。

モスクワではちょっとしたスーパーの駐車場でも、こうしてロールスやベンツ、アメ車のクライスラーなどが無造作に駐車している。しかし、これを見て、ロシアは金持ちだと思うのも誤りなら、こういうセグメントをビジネスに際して無視するのも誤りである

急速に変化し始めたロシアの自動車市場

 ところが、そんなモスクワの路上の様子がこの1〜2年でかなり変わってきた。理由は外資系ロシア国内生産車が増えたため、相対的に日本車の占める割合が減ってきたということだ。

 ソ連時代からロシア製乗用車と言えば、AvtoVazが生産する「ジグリ(輸出名Lada)」が代表的だが、ルノー/日産の資本が入った現在でも、Ladaシリーズ車を年間40万台近く製造販売しており、生産ランキング1位の地位は2013年も安泰であろう。

 同社のいくつかあるモデルは、西側のモデルに比較すると、なんとも魅力に欠ける、武骨な印象があるが、何せ価格が魅力的だ。

 ただ、このLadaだけがロシア国産車と考えると、ロシア自動車産業を誤解することになる。モスクワの道路で見かけるLadaが少ないからといって、ロシア産のモデルが少ないわけではないからだ。

 次の表を見ていただきたい。1位のLadaはもちろんのこと、モデル別第2位の現代自動車「ソラリス」、同第3位の起亜「リオ」、第4位ルノー「ダスター」など、このランキングに載るモデルは、ほぼ全部が外資系企業のロシア国内工場で生産された、150万円程度の比較的廉価なモデルである。

 マーケットとしてのロシア自動車市場は、今後数年内にドイツを抜いてヨーロッパ最大になろうという予測さえあり、本年の販売量が300万台を超えるかと関係者は固唾を飲んで、毎月の販売数字に目を凝らしている。

 そして、その大型市場の牽引車になるのは、間違いなくランキングインした外国系メーカーによる廉価モデルである。

 日本車はトヨタ、日産、三菱が現地生産してはいるが、生産規模としては西欧、韓国勢と比べるとかなり小さい。また、多様なモデルを導入している外国系メーカーに比べ、モデル数も非常に限定的だ。また、主要なモデルは日本から持ち込んでいる。

 再び表に戻るが、このランキングに日本のモデルはない。日本車は、このランキング外にある高級モデルの中で激しい競争をしているのだ。

 ロシア市場における消費者ははっきりと富裕層とそれ以外に分かれる。金持ちは金持ちなりの生活をし、買い物をする。

金持ちから攻める日本企業

 例えば、モスクワのTSUMという高級デパートで買い物をして、TSUMのショッピング袋をぶら下げて地下鉄に乗る人は、実際ほとんどいない。

 その代わり、デパートの前、そして地下には大きな駐車場があり、そこではメルセデス、ベントレーなどの高級車がずらりと並んでいる。

 筆者が注目したいのは、そういう高級車群に交じって、「レクサス」「ランドクルーザー」と言ったトヨタ車、米国製「インフィニティ」でロシア高級車市場を狙う日産、そして同じく米国製の「リッジライン」という大型ピックアップが富裕層に大人気のホンダなどがちゃんと停まっていて、日本車は富裕層への接近に成功しているという事実である。

 先日は「日産GT-R」の左ハンドル仕様を見て、ため息が出た。もちろん、販売数量は少ないし、また日系米国製造会社の製品は個人輸入である。しかし、マーケットにおいて、あるセグメントに食い込んだという事実は大きな成功を意味する。

トゥベリ車両工場の入り口。この会社は外資が入っているためか、見学者を気持ちよく受け入れてくれる。この日は、モスクワの日本商工会(ジャパンクラブ)の希望者が訪問した。一時は倒産の寸前までいったがその後、ロシア鉄道との長期契約が成立、また外資が入り、生き返ったという話があった

 実は、ここに日本企業のロシア市場戦略が端的に表れていると思う。まとめてみよう。

(1)ロシア人口に占める割合こそ小さいものの、可処分所得で見ると世界的に上位に位置するロシア富裕層を自社製品のターゲットとして、ブランドイメージを高める。富裕層が使用しているブランドであることが社会に広がることで、製品の使用者層は中産階級に広がる。

(2)ブランドがある程度社会に広まったところで、拡大した使用者層に対し、廉価バージョンの製品を提供。販売チャネルも自社専用に整備していく。

 大変簡単に言えば、下から上に、時にはロシア企業に入り込みながら上がろうとしている欧米企業に対し、日本は上から下に自力で下がる方法を取る。

 これは何も自動車に限定した話ではない。精密機械である時計、カメラなどから文房具、化粧品、家電製品など、ロシアで人気のある日本製品はどれも他国商品より高く、しっかりとブランドをPRしている。これが日本の戦略である。

 AvtoVazの支配株を握ったルノー/日産は、既存のトリアッチ工場を利用して、日産の廉価版モデル「DATSUN」を来年度から生産、販売することを発表している。個人的にはこれは欧米系戦略と日系戦略が合体した、全く新しい進出モデルに見える。

 この戦略の新機軸は、

日産/ルノーは全く新しい戦略でロシア攻略目指す

(1)廉価版モデルを製造販売し、ユーザーを富裕層から中産階級に広げる。

(2)同時にNISSANの作り上げたブランドイメージを損なわないため、新たに「DATSUN」というブランドを使用する。

(3)廉価モデルは、生産コストが高いと利益が出ないので、トリアッチにあるAvtoVaz工場を全面的に利用することで生産コストを下げる。

(4)AvtoVazはロシア全土にサービス拠点があるので、DATSUNはその拠点を利用することで、その販売をロシア全土に広げることができる。

(5)DATSUNの部品には、現在AvtoVazで生産されるモデルが使用するのとほぼ同じものが使用される可能性が高いが、これはコストを下げるためと、全国にあるAvtoVazのサービス拠点を利用するためである。

 カルロス・ゴーン社長のルノーが正面に立ち進めていったというこの案件、今後日産にとって、戦略はどのように展開していくか、これまでの進出例とは全く違うだけに、その結果が大いに期待される。

 今回は触れなかった自動車以外の日本企業のロシア進出戦略も含め、またご報告できる機会を待ちたいと思うが、どんな商品においても、欧米、アジアからの資本が定着したロシアにおいて、これまで非常にロシア進出に消極的であった日本勢が参入できる場所は少ないと言わざるを得ず、それだけにロシア進出に当たってはしっかりした戦略策定が求められる。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38416

◆変貌する隣国ロシア 知られていない日本好きなロシア人の素顔

三井物産株式会社 「世界の街角から」

アジアの玄関口 ウラジオストック

ロシアは日本から最も近い隣国の一つです。東京からロシア極東の港湾都市ウラジオストックまでは直線距離で約1,000km、東京‐ソウル(約1,200km)よりも近くに位置しています。その近さゆえ、古くから日本との関係は深く、1876年には日本国政府貿易事務所が開設され、1920年ごろには6千人近くの日本人が暮らしていました。現在、2012年のAPEC首脳会議開催に向け、空港の拡充、港湾整備、会場となるルースキー島と市街を結ぶ連絡橋の建設など、インフラ整備が急速に進んでいます。シベリア鉄道の始発駅として中国などのアジア諸国をはじめ諸外国との交易も盛んです。

 インフラ整備が進むウラジオストックの街並み

親しまれる日本

自動車をはじめとする日本製品や日本の文化、日本食がロシア全土で人気があることはご存じでしょうか。例えば、ウラジオストックでは走っている乗用車の約9割が日本車だと言われています。日本製の化粧品や洗剤、シャンプー、紙おむつなどの日用品も高額ながらも人気商品となっています。日本人作家では、村上春樹、三島由紀夫が人気で多くの作品がロシア語に訳されています。また、日本食は健康的で美味しいとの理由で、1990年代後半から和食ブームが続いていることは知る人ぞ知るところ。「ヤキトリヤ」「銀の滝」「プラネットスシ」などの日本でいうところの居酒屋や回転寿司のチェーン店をはじめ、モスクワだけで1,000店舗を超える和食レストランがあることには驚きます。お寿司屋さんで人気の「ローリ」と呼ばれる巻き寿司はうなぎ、サーモン、海老、カニ、マグロといったロシア人好みのネタにチーズを添えたもので、若い女性を中心に人気があります。板前さんの多くがロシア人であり、時には目を疑うような創作寿司が出てくることもありますが、これもご愛嬌です。

 モスクワ市内の日本食レストラン

沸き立つ消費熱と物価高

モスクワやサンクトペテルブルクといった大都市では至る所でオフィスビルやマンションの建設が進み、大型スーパーやショッピングモールが先を争って出店しています。ロシアの一人当たりのGDPは原油価格上昇の恩恵を受け、この10年でドル換算で3千ドルから1万5千ドルへと5倍に膨らむ一方、続くインフレの影響で国民は余ったお金を物に替える習慣がついてしまったようです。数ある郊外の大型ショッピングセンターでは、毎週末買い物で満杯のカートを手にしたロシア人が、100台ものレジに行列し、ロシアの旺盛な消費を象徴するその光景はまさに圧巻です。
新車販売も好調で、2014年にはドイツを抜いて欧州一の自動車市場になると予想されています。
最近では、モスクワやサンクトペテルブルクにお洒落なレストランやお店が入ったモールが登場するなど、徐々に量より質を求める傾向も見え始めています。売上を上げる必要のなかったソビエト時代のニコリともしない店員さんを見掛けることも今では少なくなりました。

 買い物客でにぎわうスーパー

マトリョーシカと日ロの歴史に思うこと

ロシアの土産物と聞いてまず思い浮かぶのがマトリョーシカ人形ですが、実は19世紀末に箱根を訪れたロシア人がお土産に持ち帰った日本の入れ子人形(こけし、だるま)が起源と言われています。
日ロ間の外交の歴史は、1854年プチャーチン提督を全権大使とするロシア帝国と江戸幕府の間で結ばれた日露和親条約に遡ります。交渉中に日本での大震災に遭遇しながらも、非常に紳士的に交渉を続けた提督の姿勢に幕府が折れたようです。大政奉還以降も、マトリョーシカがロシアに渡ったように、日ロの交流は続きますが、日露戦争、ロシア革命、2度の世界大戦、そしてソビエトの崩壊と動乱が続く中で両国関係も変わっていきました。現在日本では、北方領土問題がハイライトされますが、ロシアが世界で最初に東日本大震災の支援部隊を派遣したことはあまり知られておらず、日本人にとって情報が少ない国のようです。
日本とロシアは、技術と資源、お互いにないものを持っている、ユニークな隣人同士です。双方をもっと知ることで、かつてのように素敵な隣人関係を新たに築けるのではないかと思います。本稿がその一助となれば幸いです。

 市場で売られるマトリョーシカ人形

[三井物産モスクワ有限会社 ナターリア・ボロズディナ、丸山達人氏] 2011年12月掲載
※所属は掲載時のもの

http://www.mitsui.com/jp/ja/world/russia/1197103_1782.html

◆少し古い資料だが、現在も実行されていない事項も多く、参考のために提示しておきたいと思う。

ロシア極東経済と北海道  望月喜市氏

1.脚光を浴びる極東

 今までのロシア中央政府の政策は,専ら欧州方面に向けられ,東部地域(東シベリア+極東)への政策関心は殆どなかったといえる。その象徴的表れは,何回にも亘り作製されながら,中央政府が約束した資金を十分出さないまま,未遂行状態を繰り返してきた「極東ザバイカル長期計画」の惨状である。ところが最近になって大きく状況が変化した。

 2006年12月にプーチン大統領は安全保障会議を招集し,2002年に採択した連邦特別プログラム「2010年までの極東・ザバイカル発展プログラム」を2013年まで延伸し,極東の発展を担う「極東委員会」(委員長フラトコフ首相)を設定することを決定した。草案では従来の10倍を超える連邦予算がこの地域に投入されることになっている。さらに2012年にはウラジオストクにAPEC首脳会議を誘致する意図を表明した(極東研『会報89号』p.10-11)。
 
 プーチン政権はどのような意図でこのような東部重視打ち出したのか。東西冷戦に敗北し,その上さらに連邦の解体を経験したロシア人は,プーチン時代になってやっと「ユーラシア大国」の構築に自己のアイデンテイテイ(identity)を見出したのだ。欧州でのプレゼンスは回復したものの,アジア太平洋経済圏でのプレゼンスは全く不十分だ。それどころか,政策的テコ入れがなければ,ロシア極東は消滅するかも知れないとの危機感を中央は持つようになった。最大の理由はこの地域人口の恒常的減少である。極東人口は1990年=805万人から2006年=655万人へと17年間に150万人,1年当たりで約9万人減少した。人口のネット流出も2005年になっても続いている(流入11.4万人,流出13.5万人,ネット流出2.1万人)。一方,国境を接する中国東北3省の人口約1億3000万人である。この人口の浸透圧を防ぐための人口政策が必要だ。極東にテコ入れしなければ,極東が消滅してしまう。さらにもう1つ見逃せないのが,中国・インドの急速な経済成長だ。

 この成長力を極東の経済振興に結びつけ,人口の減少を増加に転じ,「大国」を実現する切り札こそ,東部に展開する石油・天然ガス開発である。 

 現在,「アジア-太平洋石油幹線パイプライン」プロジェクトと,サハリン大陸棚開発が進行中だ。サハリンの方は,すでにその一部が実を結び,石油の輸出が始まっている。天然ガスもサハリン南端のプリゴドノエから,LNGで日本などに輸出する。1-2年のうちに実現される。

 対岸に横たわる大陸(東シベリア)とサハリン・カムチャッカ周辺大陸棚産の燃料の最大供給可能量は,原油で1億2000万トン(4000万トン+8000万トン),天然ガス(LNG)で2800万トンといわれている。この完全実現は,東シベリア平原やサハリン大陸棚の石油・ガスの発見・開発速度に大きく依存するが,2010年代中にはかなり実現性が高いと展望されている。

 この可能性からどれだけの数量を日本が買付けるようになるかは推論の域をでないが,日本の2004年度の原油輸入量は2億4,181万KL=約2億トンであり,天然ガスの輸入量は5800万トン(05年)であったことを勘案すれば,中東や東南アジアからの石油やガスの輸入比率を大幅に引下げる可能性をもつと考えてよい。

2.北海道はエネルギー先進地区に変貌するか?

 北海道はこの石油・ガスの一大産出地のすぐ隣に位置する。サハリンからパイプで天然ガスを導入すれば,北海道は日本におけるエネルギー先進地域に変貌する大きな可能性を秘めていると考えるのだが,この意見に必ずしも賛成ではない意見も存在する。

その論拠は次の通りである。

 「北海道には勇払ガス田があり、泊り原発の稼動開始も近く予定されるので、サハリン産の天然ガスをパイプで導入する大型の長期需要を道内で見つけるのは困難である。さらに将来、十勝沖や三陸沖、南海沖の大陸棚に眠るメタンハイドレート(NGH)を商業的に開発する技術が可能になれば、国産ガスだけで日本のガス需要は十分満たされる(十勝沖,三陸沖,南海沖など日本近海のNGHの資源量は7兆m3=137年分といわれている:By三井造船研究部)。したがって現在のところでは、サハリンガスはLNGをタンカー輸入すれば十分で、ガスパイプを造るまでもない」

 これに対してパイプ建設必要論の論拠はつぎのようである。「勇払の天然ガスだけでは北海道全体の潜在的必要量を満たすためには規模が小さすぎる。現在勇払の天然ガスは,日量240万m3の生産施設規模(年間8.8億m3)である(埋蔵量は約200億m3といわれている)。一方2003年度,日本全国の国産天然ガスの生産量は28億1400万m3であり,同年の輸入量は5850万トン(810億m3、760兆Kcal)であった。つまり,北海道の国産天然ガスの生産規模は全国生産の30%であるが,全国の供給比率から見れば1%程度でしかない。北海道人口の対全国人口比では4.4%,対面積比では22%あるから,全国平均なみに天然ガスを消費するとすれば,35億m3(人口比)〜178億m3(面積比)が必要である。道内生産高が8.8億m3とすると,必要輸入額は最小26.2億〜最大143億m3となる。
北海道が寒冷地であり,面積比率から考えても,50億m3程度(LNG350万トンに相当)の輸入量をこなす潜在需要はあるとみてよい。
 
 ちなみに,北日本パイプライン開発機構(JPDO)のサハリン産ガス導入事業計画では,フェーズ1(2010年目途,名寄まで)5億m3/年,フェーズ2(2012年目途,青森まで)約30億m3/年,合計約35億m3/年を予定している。

 北海道にパイプでサハリン産ガスを導入する必要性は十分にあるだけでなく,ガスパイプの導入により,北海道はガス先進地区として日本の後進経済地区から抜け出し,国際貿易収支の万年赤字を解消するチャンスをつかむことができると思われる。

その理由はつぎの通り:

(1)北海道は天然ガス産業を発達させる絶好のロケイションに位置している。というのは、巨大なガス産地サハリンに隣接し(日本のなかでは北海道がサハリンに一番近い)、大きなガス市場である東京への中継地の役割を果たすことが可能である。東京向けガスパイプは、北海道を通らざるをえない。パイプを海底に敷設するならば、北海道をバイパスできるが、この場合は漁業補償交渉に長い時間がかかるうえ、補償金が輸送価格に上乗せされる。

(2)国産ガス田勇払をもち、ガス事業が拡大しているから、ガス事業のノウハウを持っている。

(3)ガス高度利用の技術研究の蓄積と発展があり、この分野の研究者の層が厚い(北大や旭川工大がこの分野の研究で先駆的)。

(4) 北海道の緯度は約41度から45度で、シベリア寒気団の影響で冬はかなり寒い。この気候条件は、21世紀の花形技術である(寒さに強い)燃料電池(自動車)の技術開発適地になる。

(5)人口集落が広く分散しているので、長距離送電を必要とする従来型発電方式は電力ロスが(他地域に比較して)大きくなる。したがって,天然ガスを利用する分散型コージェネ装置の特徴を有効に活用できる。

(6)環境保全問題が今後益々深刻化するにつれ,石炭火力発電のガス化、ガス利用の温室栽培や冷暖房、燃料電池自動車や圧縮天然ガス(CNG)自動車の利用、ガスコージェネ分散型発電,石油化学製品に替るガス化学製品の必要性が高まるので,今後天然ガス需要は莫大なものになると考えられる。

(7)上記したように北海道は天然ガス導入の先進地域になる潜在的可能性を持っている。「天然ガス特別区」の指定を獲得すれば,パイプ敷設に伴う複雑で多岐にわたる法的・制度的改正を北海道に限って全国に先駆け実現できる。全国的なパイプガス産業のデモ効果を期待できる。

 パイプガス輸入は,大型・長期の輸入契約が必要なため,輸入を実現するには大企業でないと困難である。もっと契約が容易なLNGによる輸入計画の実現を目指して北海道ガスが動き出した。

 一次燃料に占める天然ガスの比率は,国内平均で14-15%ほどだが,道内はまだ2-3%と延びる余地は大きい。ここに目をつけた北海道ガスは,LNG基地を石狩新港に造る計画を発表した(D070227&D070612,極東研『会報』89,p.22;同90,p.29)。投資額は300億−400億円に達する見込みで、早ければ08年にも着工、2012年をめどに運用を始める。中東や東南アジアからLNGを輸入するが、サハリン州から天然ガスを調達することも視野に入れている。同社は現在LNGを勇払油ガス田(苫小牧)など国内のみから調達している。基地にはLNGタンカー接岸設備のほか,5-10万klの貯蔵タンク,LNG気化装置,出荷設備などを建設する。北ガスは同社最大の営業地域札幌地区への供給を05年に天然ガスに転換したが需要は急拡大している。年間販売量の増加率は10%程度である。07年度からの5ヵ年計画では当初計画を上方修正し,年度平均6.4%の伸びを見込む。最大のライバル北電は,オール電化住宅の普及を急いでいる。さらに09年12月の泊原発3号機運転開始後に,大口向けを中心に電気料金の引き下げに動く。

3.北海道と極東両地域の経済協力の可能性を探ってみよう。

 ☆ サハリンプロジェクトの波及効果を狙え

 *日本の大手企業がLNG工場建設や,鋼管の輸出などに取り組んでいる。こうした大企業のプロジェクト参画と並んで,北海道の中小企業への波及効果が考えられる。輸送後方基地ワッコル(稚内)や休息・医療関係基地としての函館の取り組みなどが代表例だ。

  *北海道はサハリン産石油・ガスの供給ターミナルから最も近い位置に存在する。このロケーションの優位性を生かした,石油・ガスの中継販売,ガスの有効活用(温室栽培や養殖槽の供給エネルギーとしての利用),ガス化学産業の構築(市川勝北大名誉教授「シクロヘキサン・デカリン・ハイウエー構想」,『北海道極東研究 第4号』2003年3月)などが考えられる。現在,日本の大手企業は,サハリン側の依頼を受け,アンモニア化学やその他ガス化学産業の事業化研究を行っている。

 ☆ 市場を創造せよ(受身ではダメ)

 先駆的商品や高品質・高価格商品は,最初は販路を見つけにくいのが普通である。商品の良さを実感させ販売に結びつけることが必要だ。
 例:ウオッシュトイレの見本を先方の市役所などに設置し,その良さを実感させよ。

 先方の州庁舎や市役所内に道産商品常設展示会場を設置せよ。公共住宅の内装は,安くて品質の悪いものが使われている。しかし,それは結局「安物買いの銭失い」に他ならないことを説得できれば,日本の品質の良い(しかし高価な)内装材を売込むことが出来る。

 ☆ 先方の経済・社会・消費動向を先取りせよ。

 *ロシア市場は現在の欧州市場・アメリアカ市場を後追いしているので,こうした先進市場から多くのヒントが得られる。  

 *生活の質的改善が始まっている。この傾向は,高級消費財,デジカメとその周辺機およびそのプリントサービス,安全食品,健康志向(低カロリー食品,すし,和食),化粧品,広告産業などの市場規模の拡大を生んでいる。その販売方法にも同業者との競争に勝つためには,細かな配慮が必要だ
  (レシピ付き,季節・販売期間別の品揃え,DM広告,配達など)。
 
*レストラン,外食産業は急速に市場を広げている。

 *一戸建て持家の拡大が始まった。北方様式の住宅関連産業,インテリア関連,内装資材関連は,販路拡大の可能性を秘めている。台所用品の売れ行きは良好だ。日本の刃物類の品質はダントツである。

 *環境重視はロシアでも厳しい(S2プロジェクトにおける一連の騒動を見よ)。
  環境ビジネスと排出権取引,中型車,ハイブリッド車,エコ車,車のパーツとカー用品の売り込み,園芸用リサイクル資材の販売など。

 *石炭のクリーン化技術と採炭保安技術。そのための技術研修生の受入と技術特許権の販売など。石炭発電など石炭利用は極東では当分継続される。

 *ツーリズム・リゾート産業→テーマ観光(歴史探訪,近代工場見学,フィッシングの旅),「人間ドック+温泉+リゾート」のパック旅行企画など。

 *教育,高齢化,少子化対策産業→介助機材市場,おもちゃ市場,理科教材産業スポーツ・登山用具などの販売。  

 ☆ 北の技術,日本の技術を売り込め→ 凍上防止舗装,水道不凍栓,バイオトイレ,DMV,除雪機,漁業加工機械(研修生制度付き),木材加工機械(研修生制度付き),食品加工(冷凍すし,回転すし,饅頭自動生産機械,魚介類養殖技術の販売,特許権取引も重要な項目だ 

 ☆ 北海道の食の自給率は100%を優に越える。この特色を発揮すべきだ。農産物,果実・花卉類,血統書付き家畜・酪農製品の売り込みを図れ。

 ☆ ロシアの先進技術や商品を輸入せよ。品種改良,製鋼技術,宇宙技術とその関連商品,暗視技術,レザー技術,航空機・ヘリコプター技術,素材産業など沢山の優れた技術が眠っている。特許登録された技術リストの交換をしたら,金の卵を発見できる公算が大きい。

 ☆ ウェッブ サイトによる販売と売込みの取次ぎ(BtoB)→すでに日本の企業や,ロシア企業で事業を着々と拡大いている事例がある。

 ☆ よきパートナー(ロシア企業だけでなく,中・韓・米企業を含め)を見つけ,互恵的協力関係を築け。この点では,信用調査情報の不足を改善する必要がある。

 ☆ 貿易・投資促進のための制度改善,金融ソフトの創設,情報交換を盛んにせよ。行政はこの分野で最大の努力を傾注せよ。
 保税加工ゾーンの新設,貿易保険・貿易金融の強化,ビザ制度の簡素化,関税の引き下げ,FTA・EPAの促進,雇用規則(労働法),税法・商法・貿易手続きの研究,情報・統計のネット上での公開,品質証明の相互承認,関税課税基準の透明化,銀行間コルレス契約の拡大,付加価値税還付の迅速化と還付制度の廃止など。

 ☆ 韓国・中国・米国・欧州・豪州企業の進出に注意を怠るな。
  極東市場は新興市場として草刈場化している。視野を広げ,他国企業の動向をウオッチせよ。

 ☆ 商品やソフトの現地生産(ロシアの安い素材,労働力,PC技術要員などに比較優位がある)。学界への提言→極東市場の共同調査の組織化,天然資源保護ための基礎データの共同収集,温暖化関連のシベリア・タイガ,永久凍土の調査,日本海汚染の共同調査,サハリン都市変貌過程の定点観測,地方財政の比較研究,養殖技術の共同研究,ガス化学産業の共同研究,大学間交流の活発化(教授間・学生間),認定単位の相互承認,単位交換制度の導入。政界への提言→公的資金による調査出張の帰国報告書を公開せよ。民間の研究集会に積極的に参加せよ。対ロビジネスや人的・知的交流分野でのバリア解決に議会レベルで努力せよ。

 ☆ 対ロビジネスにおける「不安要因」として次のことが指摘できる(大陸貿易専務鈴木政義氏による2007年2月22日の「ビジネスセミナー」資料p.13などを参考にした)。

 * ロシアでは国会選挙(07年12月),大統領選挙(08年3月)があるが,政治の安定性,利権の行方などが選挙でどう変わるか。

 * 少子化・人口問題→ロシア全体で人口減少が激しい。1993年のピーク人口1.486億人は,06年には1.425億人にまで減少した。年平均87万人の減少である。極東でも同様である(上述参照)。この要素は,ロシア市場を考える場合,非常に重要な事柄である。ロシア政府はこの問題を深刻に受け止め,対策を立てている。
その1つが,在外同胞の母国移住促進政策だが,受入態勢(住宅や就労問題など)が急速には整わないため苦慮している。もちろん,出生率引上げ死亡率引下げのための環境整備にも取組んでいる。
 
 * 中央と地方の格差→個人所得格差も大問題で中間層を厚くしないと,健全な市民社会が育たない。

 * ルーブル高→オイルマネーが大量に流入するとルーブル高になり,輸出競争力が弱体化し高度成長にかげりがでる,

 * 高いインフレ率→06年にやっと9%となったが,まだ油断できない。成長環境を維持するためには2-3%程度のインフレ率が望ましい。

 * 未発達な金融部門→銀行資産全体でも西側銀行1社の資産程度でしかない。健全な成長のためには,資金循環を司る銀行資産が大きくなければならない。

 * エネルギー依存体質が強く,最近では,資源ナショナリズム体質が顕著になる傾向がある。

 ☆ 以下はトヨタ自動車の部品供給基地化する北海道に関する記事である(D070404より要約・追加)。直接,極東ロシアとは関係ないが,北海道がロシア経済と結合しながら,長年の念願であった加工産業基盤を拡大していく事例をして紹介する。極東ロシアでも,加工産業比率を高めることは,切実な課題となっている。

 トヨタのロシアへの進出は,2001年ロシア・トヨタ販売会社を設立したことから始まる。06年のロシア市場での販売台数は10万台を突破した。05年5月には販売から現地での生産工場(生産能力5万台)をサンクトペテルブルグに設立することを決めた。今年1月にはカムリが初出荷される予定だ。
このトヨタに部品を供給する拠点の1つとして,苫小牧に立地しているのが,「トヨタ自動車北海道」(1991年創立,自動変速機,CTV:無段階変速機,アルミホイール,トランスファーなどの部品を生産)である。この工場の周辺には,自動車関連の工場群が目白押しで立地しており,いずれも07年から08年にかけて操業を開始する。すぐ隣の室蘭には,新日鉄室蘭製鉄所(特殊鋼),第一金属(クラッチプレートプレス加工)などがある。しかし,現在のところ,苫小牧に進出した自動車関連企業は,いずれも道外からの進出であり,これら企業による部品の道内調達率は1割未満といわれている。この調達率を引上げることで,道内の加工産業を振興しようという動きを道庁(道立工業試験場)が主導している。このプロジェクトは自動車用プレス加工技術を道内中小企業に移転しようというものだ(08年中)。一方,室蘭工大は民間鋳工所と共同で薄型の鋳物製造法を開拓中である。この開発は自動車の燃費改善に貢献する。09年春に実用化をめざす。  
             (筆者は北海道大学名誉教授)

http://www.alter-magazine.jp/index.php?%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E6%A5%B5%E6%9D%B1%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%A8%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93


Viewing all articles
Browse latest Browse all 329

Trending Articles